『地域から読み解く「保護する責任」――普遍的な理念の多様な実践に向けて』
(西海洋志、中内政貴、中村長史、小松志朗編、聖学院大学出版会、2023年)

21世紀の国際政治において最も論争的な概念の一つといえる「保護する責任」。紆余曲折を経て、国際的に定着してきたものの、いまだその全体像や現在地は不明瞭なままである。本書が描き出すのは、単なる強制的な軍事介入や「人道的介入」といった側面にとどまらない「保護する責任」の射程、また、世界各地の地域的な文脈を背景とした多様な展開である。2017年に出版された『資料で読み解く「保護する責任」』の姉妹本となっている。
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【目次】
序章 保護する責任の現在地――本書の視座と方向性
第I部 欧米と保護する責任
<北米>
第1章 カナダ ――R2Pの「助産師」から「改良主義的実践者」へ
第2章 米国 ――超大国に息づく保護する責任
<欧州>
第3章 英国 ――支持と逸脱の二つの顔を持つ大国
第4章 フランス ――介入主義の急先鋒から国際主義の堅実派へ
第5章 EU・北欧諸国 ――繰り返される原則支持と割れる対応
第II部 非欧米と保護する責任
第6章 アフリカ ――第三の柱を中心に
第7章 中東 ――リアルポリティークと拭えないR2Pへの不信感
第8章 アジア太平洋 ――市民社会に広がるR2Pと虐殺予防
第9章 ラテンアメリカ ――多様性とアンビバレンスのなかの現地化
第10章 新興国 ――つかず、離れず、まとまらず
終章
【編著者】
西海洋志(序章、9章、10章)、中内政貴(5章、終章)、中村長史(序章、2章、
10章)、小松志朗(3章、4章、終章)
【分担執筆者】
千知岩正継(1章)、竹澤由紀子(5章)、今井ひなた(6章)、井上実佳(6章)、
今井宏平(7章)、宮下大夢(8章)、山﨑周(10章)、大庭弘継(10章)
【翻訳担当者】
安良城桃子、石原崇一朗、北村優成、佐藤慧、高島亜紗子、高園遼太郎、高羽珠理、
立石泰佳、土井翔平、廣瀬麻衣子、北條真莉紗、溝端悠、八尾佳凛、吉田祐樹
本書の基となった共同研究および本書の刊行においては、以下の諸団体より助成をしていただきました。改めて、心より感謝申し上げます。
公益財団法人野村財団 2019年度 社会科学助成
上智大学学術研究特別推進費 2021~2023年度
聖学院大学研究叢書出版助成 2022年度
【書評】
『平和研究』64巻(2025年)に、志村真弓先生による書評が掲載されました。
『国際安全保障がわかるブックガイド』(赤木完爾、国際安全保障学会編、慶應義塾大学出版会、2024年)に、草野大希先生による書評が掲載されました。
『グローバル・ガバナンス』第10号(2024年)に、上野友也先生による書評が掲載されました。
是非ご覧ください。